「男女共同参画週間講演会」で自分らしい生き方を考えよう~8月20日レポート~ 最終更新日:2023年8月20日 (ID:2781) 印刷 こんにちは、くすくすママレポーターです。6月23日から29日は、内閣府が定める『男女共同参画週間』。男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(男女共同参画社会基本法第2条) つまりは、仕事、家庭、地域生活など多様な活動を自らの希望に沿った形で展開でき、男女がともに夢や希望を実現できる社会のことです。男女共同参画推進センター「ゆい」では6月17日、メイトム宗像で男女共同参画週間講演会「夢をあきらめない!私らしい生き方とは」を実施。当日の様子を、私目線でお伝えしたいと思います! スポーツ界から見る男女共同参画とは? 講演会チラシ 講師は山口香さん 講師の山口香さんは、筑波大学体育系教授でソウルオリンピック女子柔道銅メダリスト。現在は教鞭を取りながら、全国各地の講演会・メディア等でも幅広く活躍されています。講演会で実際にお会いしてみるとスラッとした姿が印象的でしたが、とてもパワフルな方。忙しい中でも、スポーツキッズ育成などにも尽力されています。山口さんは東京オリンピックの年に生まれ、柔道ブームの最中に育ち、テレビドラマの「姿三四郎」の影響を受けて柔道を始めたそうです。他を寄せ付けない強さから「女三四郎」と呼ばれ、アニメ化され話題となったYAWARAの主人公・猪熊柔のモデルとしてもご存知の方がいらっしゃるのではないでしょうか。全日本女子柔道体重別選手権では、初出場の13歳から、なんと10連覇!その偉業を讃えられ、日本女子柔道のコーチなどを経て、日本オリンピック委員会(JOC)の理事を任されていたこともあります。男性中心の柔道界やスポーツ界でも、声を上げ第一線で活躍されている女性のパイオニア的存在でもありますね。 スポーツ界は「社会の縮図」 スポーツ界は「社会の縮図」にも例えられます。日本のスポーツ界で女性の活躍が目まぐるしいものになったのは、ここ10数年ほどの話。以前は「女性は守られるべきもの、スポーツなどはありえない」とされ、女性のアスリートが誕生するまでに多くの方が先駆者として声を上げ続けてくれた事実があります。それでも、まだまだ組織や団体での意思決定の場や、理事会などに女性がいないという現実。山口さんは「女性が活躍する世の中を築くには、女性が声を上げて環境を変えていかないといけない。環境が整って技術力が向上した上で、女性が自立していかないといけない」と力強く唱えていました。 スポーツ界の女性の活躍について、力強く語る山口さん ジェンダーレス時代はネクストステージへ 21世紀の今となってもなお、「男性が働き、女性が家事育児を担う」という古い日本の風潮はあまり変わっていません。男女平等・男女共同参画・SDG sなど段階を経て、世の中、特に若い世代の方々の考え方はだいぶ変わってきたように思えますが、上の世代にいくにつれて、まだまだ男女共同参画という感覚が備わっていないように思えます。私の両親の代は共働きにも冷ややかで、「家内」という言葉のように、女性が家に入るという考え方を強く持っています。「女性は守られるべき存在」であったというのは一概にも悪い風潮ではありませんが、女性が活躍を妨げるものはまだまだあり、日本は世界に比べると遅れをとっているのではないかと思います。 女子マネージャーは日本だけ 驚いたのが、学校の部活動などで「女性マネージャー」がいるのは日本だけなのだそうです。「女性が男性のお世話をする」のが当たり前だった世の中で、自然と定着していったのでしょう。最近は、看護師や保育士も男性が活躍する場面が増え、職業において性別という縛りも衰退していっています。同じ人間であっても、性別・生きてきた時代も違うわけですから、同性や同世代の方が話も通じやすく、楽に感じられることもあるでしょう。しかし世の中を変えていくためには、楽な道ばかりを選ばずに意見交換をしていく必要があります。 東大名誉教授・上野千鶴子さんの言葉 東京大学の名誉教授である上野千鶴子さんは、ジェンダー論や女性学を専門とする有名な社会学者です。そんな彼女が、平成31年度の本大学入学式で話した有名な祝辞があります。「あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、『しょせんおまえなんか』『どうせわたしなんて』とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶める(おとしめる)ためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」(東京大学HPに掲載の「平成31年度東京大学学部入学式祝辞」より引用)講演会の中で紹介されたこの祝辞は、当時インターネットでも大きな反響がありました。「世の中には恵まれていない人もいる。余裕がある人は、困っている誰かのために自分のできることをする」ということから皆で意識すれば、良い世の中にまた一歩近づくと信じています。 全文は「東京大学HP(外部サイト)」で公開されていますので、関心のある方はご覧ください 会場の様子 講演会を終えて 講演会に参加し、印象に残ったのは「努力は報われない」という言葉です。努力しても、報われない人もたくさんいるということ。自分が今いる環境でも、結果は大きく変わっていくということ。今の自分に満足していくには、環境を変えていかないといけないということ。自分自身が目の前の扉をこじ開け、前を向いて強く生きていくこと。難しいようですが、環境も価値観も生きている場所も違う老若男女が、声を上げて想いを口に出すことが世の中を変えていく第一歩なのかもしれません。少しずつでも環境を変えていくことができれば、努力が報われる世の中へ近づいていけるかもしれません。 来場者の声 70代男性 講師の方の柔道選手だった頃を知っています。講演会に参加して、自分の妻にも優しくしないといけないなと感じました。 50代男性 講師の方の話が上手く、面白い内容だった。「九州男児だから」とあまり家事ができていなかったので、反省しました。 (レポートは原文のままで掲載しています)