教育福祉講演会「時間の枠をこわす」認知症高齢者と子どもたち~3月29日レポート~ 最終更新日:2025年3月28日 (ID:8006) 印刷 こんにちは、ゆきママレポーターです。2024年12月1日に教育福祉講演会「『時間の枠をこわす』認知症高齢者と子どもたち」がメイトム宗像で開催されました。育児と介護はあまり結びつかないかもしれませんが、私が小学生の時に祖母は認知症になり、母が育児と介護を同時にする姿を見ていたので、介護は他人事ではないという意識がずっとありました。イベント情報を見ていたところ、こちらの講演会のテーマが目に留まり、案内を見ると「高齢者のみならず、親の介護が気になる方、子育て中で子どもに振り回されている方、若い人たち、世代を問わず」とあったので、興味深い内容だと思い参加してきました。オープニングソングから始まる講演会講演会の主催は「子ども寺子屋カフェ」を運営する会で、毎年1回、教育福祉講演会を開催。代表は清水満さんです。代表の清水満さん会の活動は子ども食堂の一種ですが、北欧デンマークの教育でなされる表現・感受性をはぐくむワークショップがあるのが一番の特徴で、国際色も豊かです。この日も「一歩入ればデンマーク」ということで、オープニングソングから始まりました。今までいろいろな講演会に参加していますが、歌で始まるのは初めてではないかと思います。デンマークの文化では、冠婚葬祭、学校、ミーティング等、何でも歌から始まり、「歌・花・コーヒー・ケーキ」がデンマーク文化の4点セットなのだそうです。参加者は歌に合わせて手拍子や楽器を鳴らします。会場が温かい雰囲気になったところで講演会が始まりました。副代表の荒川さんが素敵な弾き語りを披露してくださいました長年の介護経験で学んだこと講師は、「宅老所よりあい」「第二宅老所よりあい」「特養よりあいの森」代表の村瀬孝生さん。村瀬さんは37年間介護の仕事に携わっていらっしゃいます。講師の村瀬孝生さん今、ここが大事村瀬さんが新人の時、利用者の方たちからかわいがられていて、よく頼まれごとをされていたそうです。まだ仕事のことがよく分からなかった村瀬さんは、禁止物を買ってあげてしまったこともあったのだとか。しかし、仕事が分かるようになればなるほど管理者になっていったとおっしゃいます。「甘いものを食べたい」と言われても糖尿病であることを知っているのでスルーしてしまい、翌日その方が亡くなるという状況を目の当たりにします。職員たちはこんなに早く亡くなるのなら甘いものをあげれば良かったと悔やんだと思いますが、明日の命を保証された人は誰もいません。このような経験から、健康は大事だけど、「今、ここが大事」だということを学んだとおっしゃっていました。お話をされる村瀬さん老いとは何かだんだんできなくなることが増えていき、不全になり、亡くなるというのは、自然の摂理だと言います。人は姿形を変容しており、介護の言葉で言えば、全介助の要介護5の状態で生まれ、要介護5の状態で亡くなりますが、それはただ回帰しているだけだとも言えます。生まれてから亡くなるまで老いは病気ではないけれども、病院に行けば病名がつき、そこから延命が始まります。村瀬さんはそれ自体を否定しているのではなく、老いに対する不安が高まる社会が問題ではないかとおっしゃっていました。子どもの世界とお年寄りの世界私たちは概念・言葉で世界を捉えています。それに対し、子どもとお年寄りは実感・非言語で世界を捉えており、時間や空間、物の見え方、聞こえ方が違うのだそうです。例えば、私たちは「あの山は何ですか」と言われると山の名前を答えますが、認知症高齢者の方は「緑の深い山」と目の前のありのままの様子を答えたそうです。私たちが言語で捉えているものを、質で捉えているという違いがあります。仏教の世界では概念の世界を「分別智」と呼び、実感の世界を「無分別智」と呼ぶそうで、「無分別智」の方が素晴らしいと言われています。「無分別智」とはいわゆる「悟り」のことで、言葉が手段化されておらず、学ぶことの方が多いのだそうです。しかし、私たちは言葉によって表現し語ることを知性と考え、概念から離れることは機能の低下であると判断してしまう傾向があります。子どもの世界とお年寄りの世界不安の解消は漠たる安心老いによりできなくなることを受け入れられないと不安が生じます。不安は得体のしれないものであり、明らかにして解決しようとすればするほど不安は高まります。「実は不安ではないのかもしれない」という出来事を重ねていくことが大事ですが、その漠たる安心をどう作るか、根拠のない自信をどう作り出すかというと、一人では難しいのだそうです。 過去の自分に戻ることはできないので、これからどう生きていくか、そばにいる人が一緒に新しい習慣を作っていくことが必要になります。いくら説得しても本人が納得しなければいけないし、納得すらしないこともあるので創意工夫が必要になりますが、向き合っているうちに偶然から生まれることもあるのだそうです。時間ではなく、相手のペースに合わせる村瀬さんの施設では、決められた時間ではなく、ご本人のペースで生活を送ることを大事にされているそうです。ゆっくりと食事をし、きちんとトイレに座って排泄をすることで誤嚥性肺炎や感染症を防ぐことができ、有病率の低下にもつながっています。老人介護は悲惨だとか暗いイメージで語られることもありますが、想定を超えてくるときにどう対応するか、大変だけどこちらのチャンネルを合わせていくのがおもしろいと村瀬さんはおっしゃいます。そして、現在の高齢化社会は、私たちが立ち止まって社会を見直す良い機会なのではないかと話されていました。講演会に参加してこの講演会はとても深い内容でしたが、実体験を交えながらの村瀬さんのお話はわかりやすく、笑いもあり、とても勉強になりました。村瀬さんより、子育て世代に向けてメッセージ子どもと老いは正反対に見えるけれど、実感している世界は共通点があります。私たちは「子どもを育てている」とか「親を看ている」と言うように「している対象」として見ていますが、実はこちらが学ぶことの方が多いのです。以前から認知症高齢者の方とお話をするときは、独特の世界観があっておもしろいと感じていましたが、それは子どもの感性や表現力と確かに近いものがあると思いました。発達障害の子どももこれと同じで、説得したり、こちらの考えを押しつけたりするのではなく、感じている世界が異なり、それを尊重すれば、コミュニケーションもうまく取れるのかもしれません。これからはもっと話に耳を傾け、相手が感じている世界を尊重したいと思いました。「子ども寺子屋カフェ」を運営する会の活動講演会の後で、「子ども寺子屋カフェ」を運営する会の活動紹介がありました。映像を使って紹介する清水さん「子ども寺子屋カフェ」デンマークの教育で実施されている教育効果の高いワークショップを取り入れた新しい子どもの居場所です。ワークショップは、アートや音楽、季節のイベントや自然とのふれあい、理科実験等多様で、映像からも子どもたちの楽しそうな様子が伝わってきました。日時:毎月第二日曜日の午後2時から午後4時30分場所:田久の古民家KTハウス対象:小学生(15名まで)「家族ダイニング・さんさん」親子で昼食づくりをし、食後は子どもは遊び、保護者はコーヒータイムと交流があります。みんなで食事をつくり、一緒に食べる楽しさを実感することができます。日時:毎月最終日曜日の午前10時30分から午後2時30分場所:メイトム宗像調理実習室対象:小中学生と保護者(25名まで) 「子ども寺子屋カフェ」を運営する会では、会員とボランティア・スタッフを募集しています。詳しくは下記にお問い合わせください。連絡先:「子ども寺子屋カフェ」を運営する会代表・清水満さん電話番号:070-1374-8968 メール:mann@asahi.email.ne.jp (表記はレポーターの表現を優先しています)