時間旅行ムナカタ第117回「オープンから10年 いせきんぐ宗像に行こう!」 最終更新日:2025年3月19日 (ID:7991) 印刷 古代体験学習みなさんは「いせきんぐ宗像」に行ったことがありますか。いせきんぐ宗像とは、田熊石畑遺跡歴史公園の愛称です。今回は、名前のとおり弥生時代の宗像の王(きんぐ)が眠る遺跡を案内します。いせきんぐ宗像こと田熊石畑遺跡は、2008(平成20)年、商業施設や住宅開発の事業に伴い発掘調査が行われ、当初は調査が完了すればなくなってしまう遺跡でした。しかし、調査開始後まもなく大きな発見がありました。当時の有力者の威信財であった武器形の青銅器が、一般の墓とは違う区画の墓域から多量に出土したのです。調査では、9基の墓が確認され、そのうち調査が行われた6基からは銅矛・銅剣・銅戈(どうか)と呼ばれる3種の青銅器計15点が出土しました。これは、同時期の佐賀県唐津市の宇木汲田遺跡(14点)や福岡市吉武高木遺跡(11点)など、全国的に著名な遺跡と比較しても遜色ありません。また、いせきんぐ宗像には未調査の墓が3基残されていて、未だ弥生時代の王たちと共に貴重な武器形青銅器も地下に眠っているかもしれません。その後、遺跡はその重要性から2010(平成22)年に国史跡の指定を受け、2015(平成27)年に「いせきんぐ宗像」として開園し、今年で10年を迎えます。現在は、沖ノ島祭祀(さいし)につながる宗像人のルーツを学べる歴史公園として、月に一度の古代体験学習や週末の無料園内ガイドなど多くの人々に親しまれています。5月末には10周年記念イベントも開催予定です。ぜひ遊びに来てください。(文化財職員 豊崎・西依)