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べじたぶる1月号「父の味を追い求め切り拓いた農業の道」~かんきつ農家永野 佐千生さん~

2025年1月6日更新知る

永野佐千生さん

  • 営農年数:4年目
  • 営農地:宗像市池田
  • 栽培品目:かんきつ
  • 作付面積:約80a

心を動かした“父の味”

かんきつを栽培するご両親の下で生まれ育った永野さんは、一般企業に勤めながら、定年退職を迎えるまでの数年間は休日を利用して農作業を手伝っていました。しかし意外にも、お父さんはあまり手伝わせてくれなかったそう。昭和40年代に起きた、かんきつ価格の暴落などの苦労を経験したからなのか、「父親は、全く継がせる気がなかったですね」と当時を振り返ります。

それなのにどうして継ぐことにしたのか尋ねると、「父親がつくるミカンがおいしかったから」と一言。続けて「父親のミカンは、“テレビを見ながら気づけば4個も食べている”なんてこともあるくらいおいしくて、ここで終わらせるわけにはいかないと思った」と大きな決断に至った理由を教えてくれました。現在は、奥さんと2人で協力して農作業に励んでいます。

待ちに待った収穫

お父さんが遺した園地の一部には今、約1,000本もの新しいミカンの木が植えられています。そのうち約250本は2024年に収穫1年目を迎え、残りの木も今年の10月ごろから収穫を始めていく予定です。自ら植えた木からの初めての収穫。安堵する様子を見せながらも「味はまあまあかな。でも父親のミカンには届かない。日々勉強だね」と笑い、向上心をのぞかせます。

目標であるお父さんから直接ノウハウを学ぶことができなかった永野さんは、動画共有サイトの活用や、かんきつ部会員との情報交換で技術を習得。部会で定期的に行われている現地検討会では、ベテラン部会員からさまざまなアドバイスをもらい、日頃の管理作業に役立てています。

美しいミカン。父の味を求めて日々勉強です

美しいミカン。父の味を求めて日々勉強です

喜んでもらえるミカンを

永野さんが心掛けているのは、“特に作業がなくても毎日園地を見回る”ということ。明日やろうと思っていた矢先に鳥獣被害を受けてしまったということがあったそうで、「思ったことはすぐにやるというのが大事。木の状態だけでなく、電柵に問題がないかなども確認しています」と同じ失敗を繰り返さないよう工夫しています。

日々の積み重ねで、本格的に農家人生のスタートを切った永野さん。目標はやはり、おいしかったお父さんのミカンを自身の手でつくること。「たくさんのお客さんが“おいしい”と喜んでくれていた、あのミカンをつくりたい」と意気込みます。

永野さんに毎日見守られスクスクと育っています

永野さんに毎日見守られスクスクと育っています

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